海外留学に同行する家族の被扶養者資格(健康保険)

海外留学に同行する家族の被扶養者資格(健康保険)

事例の内容 令和6年7月〔№149〕 社会保険

1.健康保険の被保険者である従業員Aには、被扶養者である配偶者と子がおり、当該子が海外に留学することになった。
2.子の留学に伴い、配偶者(留学する子の親)も子のサポートのために海外に同行することとした。被保険者である従業員Aは日本国内に残ったままである。
3.「留学をする学生」は国内居住の例外として被扶養者のままでいられることを承知しているが、同行する配偶者(留学する子の親)は、健康保険の被扶養者の資格が継続するか否かとの質問があった。

処理経過等

1.配偶者(留学する子の親)については、「留学への同行」という渡航目的に照らし、国内居住要件の例外として認められ、被扶養者の資格は継続できることを回答した。
2.保険者に対しては、被扶養者(異動)届の提出を要し、当該届には、「海外特例要件」に該当することやその理由(留学、同行家族)の表示を行う(協会けんぽの場合)。
3.手続の際、留学生本人は、査証(ビザ)、学生証、在学証明書、入学証明書等の写し、同行者については査証を添付し、国内居住要件の例外に該当することの確認が行われる。
※外国語で作成された書類は、翻訳者の記名がされた日本語の翻訳文を添付。

法令、注意点等

令和2年4月1日の制度改正により、被扶養者の認定要件として日本国内に住所を有することが追加されたが、次の各号に該当するものは国内居住要件の例外(海外特例要件)として、被扶養者の認定が行われている。
 今回取り上げた「配偶者(子の親)」は、「留学への同行」という渡航目的に照らし、国内居住要件の例外として認められている(以下のうち、③に該当。R5.6.19通知内QA-8参照)。
  ① 外国において留学をする学生
  ② 外国に赴任する被保険者に同行する者
  ③ 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者
  ④ 被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者であって、②に掲げる者と同等と認められるもの
  ⑤ 前各号に掲げる者のほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者

・健康保険法施行規則第37条の2(海外特例要件)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=215M10000008036
・令和元年11月13日 保保発第2号等(改正:令和5年6月19日 保保発1113第2号等)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4995&dataType=1&pageNo=1

※ ここに紹介した事例は、会員の体験等に基づくものです。類似の事案については異なる取扱いが生ずる場合もありますので、詳しくは所轄行政機関等で確認してください。
※ 当事例集はSRセンター正会員間の情報共有化を目的として発行しているものです。他のメディア(ホームページ・ブログ等を含む)への転載・流用はご遠慮ください。

東京SR経営労務センター(業務委員会)IT委員会協力